小さな和菓子屋がやりたいこと

和菓子と洋菓子の境界線と多様性

こんにちは。和菓子悠の広報担当です。今日は少し暖かい日でした。少しづつ春が近づいてきたと同時に、花粉の季節がすぐそばまでやってきています。春はとても好きな季節なのですが、花粉だけは本当に苦しいので嬉しい気持ちと悲しい気持ちが同居しているのが私の春です。ということで今日は和菓子と洋菓子の境界線について思っていることを書いていきます。

和菓子や洋菓子の定義

そもそも和菓子と洋菓子の違いとは何でしょうか。和菓子は大きく生菓子、半生菓子、干菓子の3種類に分けられます。小豆を使ったあんこや餅、米などを用いたものが多いのが特徴です。また、あるサイトではこのように説明しています。和菓子とは、日本の伝統的な菓子を意味する。餅菓子、まんじゅう、羊羹、最中、煎餅などの種類がある。 また、遣唐使が日本に伝えた唐菓子、スペイン、ポルトガル、オランダなどヨーロッパから伝えられた南蛮菓子のカステラも和菓子である。 四季との結びつきが強く、味だけでなく視覚的な美しさで季節感を表す特徴を持つ。と書いてあります。一方で洋菓子の定義とは。wikipediaにはこうあります。洋菓子(ようがし)とは、西洋に起源をもつ菓子の総称で、日本の伝統的な菓子である和菓子と対置される言葉。ただし、西洋に起源がある菓子であっても、16世紀にオランダやポルトガルなどの宣教師から伝えられた、カステラ、ボーロ、金平糖などの南蛮菓子は通常和菓子として扱われている。とのことです。どちらも砂糖を使う(昔はデンプンを用いていた)事は共通しています。あと明確な違いとしては、和菓子は砂糖に餅や米、小豆などを組み合わせるパターンが多いのに対して洋菓子は主に砂糖に卵と小麦粉を組み合わせる物が多いですね。ただ和菓子の中でもカステラやどら焼き等は小麦粉や卵を用いており、和菓子と洋菓子の中間に位置しています。(ただカステラはもはやあんこも餅や米も用いられておらず、基本的には小麦粉と砂糖と卵と蜂蜜で作られており、ほぼ材料は洋菓子です)。このように、砂糖を軸に少しづつ材料や製法が異なるのが和菓子と洋菓子で、昔から、本当に数百年前から人々に甘味を届ける素敵な存在でした。

多様化していく社会と食生活

昔から人々の生活のそばには和菓子があり、まんじゅうや餅菓子、せんべいなどは数百年前から造られてきました。いわば伝統の日本のお菓子といえます。そんな時代からこの150年で世界は様変わりしました。髪型や服装が変わり、蒸気や電気が生み出され工業社会が発達し急速に人々の生活が変わっていきました。行動範囲や情報伝達が早まり、文化や思想も世界中で色々な、今までだったら人生の中で出会うことも知ることも出来なかった世界の色々なものや事に触れる機会が増えました。そして職業も結婚も服装も自由に選べる時代になり、通信やインターネットの発達でさらに加速度的に大きく世界が変わってきています。今もこの10年でインターネットの発達により、お金のやり取りが仮想空間で出来るようになったり、情報の発信や商売がITの力を使って誰でも一人で気軽に、しかもほぼタダで何でも出来る世の中になりました。性別も、年齢も、人種も様々になり、これまでの定義が役割を果たさない世界になりました。そんな中、日本の食生活も大きく変わりました。今までは家族団欒で祖父母と暮らし、母親が専業主婦で土日はみんなでテレビを見る、そんな家庭は今や都内にはほとんどありません。食生活も変化し、核家族が増えレトルトや簡易的な食べ物がとても人気になり、世界中の野菜やお菓子、調味料や料理を知ることが出来るようになりました。様々なものが多様化していく中で、伝統的な和菓子というジャンルも御多分に漏れず多様化してきています。

変わることと変わらないこと

変わることが悲しいと思う方もいると思いますし、変わることにワクワクする方もいると思います。どちらも間違っていませんしどちらも正しいです。和菓子も色々なものが出てきています。生クリームを使ったどら焼き、アフリカのスパイスを使った羊羹、ワインやチョコレートを使った和菓子がたくさん作られています。数十年前だともしかすると「邪道」と言われてしまうような和菓子が本当にたくさん出てきています。そんな中で伝統の味を守り続ける和菓子屋の老舗もたくさんあります。かくいう私も亀十さんのどら焼きは大好物です。私は伝統も革新も、どちらもあっていいと思っています。なぜかとうと、重要なことは伝統的か、革新的か、という事ではないからです。重要なことは、自分がどうありたいか、ということです。伝統も革新も知り、その上でどう自分が生きていきたいか。私は時代や和菓子を取り巻く環境が変わっても、やりたい事は同じで、それは「和菓子でお客様とお客様の大事な方を笑顔にすること」です。そこにはプライドもこだわりもある意味ありません。ただただお客様を笑顔にするのはどうすれば良いかを考え、実行し続ける事でしかありたい自分にはなれないと分かっています。少し暑苦しいのかもしれませんが、世の中にはこういう和菓子屋があってもいいと思っています。なぜならそれもまた多様性の一部だからです。それではまた!

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP
PAGE TOP