小さな和菓子屋がやりたいこと

和菓子の転売について思うこと

こんにちは。和菓子悠の広報担当です。今日は和菓子や洋菓子といった、食品の転売について書いていこうと思います。

転売に対する私個人の考え

まず、私の意見は、転売には概ね反対です。概ねというのは後ほど説明いたしますが、なぜ反対かというと、正規の製造者とお客様との間に本来は入らなくていい転売業者の方々が入ることで、その転売業者の手数料や利益が加味された商品代金となることで、本来お客様にご提供出来る価格よりも高い値段でご購入頂かなければならないからです。商品には適正な価格があり、それは材料費や製造にかかる工房の場所代や職人の方々の人件費、送料や梱包材の費用、機械を使っている場合は減価償却費などなど、さまざまなコストが加味された上で価格が決められています。当店の場合、といっても大多数の和菓子屋の方々もそうだと思いますが、その様々なコストが加味された上で、出来るだけたくさんのお客様にお手に取って頂けるような価格で販売させて頂いています。一概に出来る限り安く販売するということよりも、お客様や製造業者、そのほかに関わる材料の業者様や輸送業者様など全ての関係各所がwin-winになるような適切な価格で販売させていただくという意味合いです。正直に申し上げるとそこに転売業者の方は本来でいくと必要はありません。

ではどういった転売が起こっているかを見てみると、最近ですとTwitterで佐藤屋様が乃し梅(私は大好物なのですが)を転売されている事に苦慮されていたり、これも私が大好きな亀十さんのどら焼きがAmazonで関係のない業者から販売されていたりと有名な和菓子屋様の商品が狙われています。これは佐藤屋様のtwitterです。当店の落雁もかなり稀にこういったネット商店で転売されていることがあるのですが、まさにイタチごっこです。要は楽天やAmazon、Yahoo!はあくまで売り場を提供している第三者であるという立ち位置から、違法性がない場合は取り締まる事がなかなか出来ないのが現状です。

和菓子だけでなく、例えばNIKEのスニーカーや希少性の高いものはこういった状況に陥りがちですが、和菓子は食品なのでお客様の口に入るものであるという点から、転売業者から購入されても品質の保証が出来かねてしまうという点が最も重要な問題であると考えます。もし転売された商品を食べたお客様に何かあったらと思うと気が気ではありません。それだけ食の安全性には細心の注意を払うべきですし、それが出来なければ食品を作るという事を生業にすべきではないと考えています。

では、転売を防ぐ方法があるのかというと、佐藤屋様も嘆いていらっしゃいましたが現状は違法性はないため取り締まることが出来ない状況です。その上で我々和菓子を製造する側が出来る事は、出来る限り転売される原因を潰していくことしか出来ないと考えています。そもそも転売が起こってしまう理由としては、恐らく市場での希少性が高いという部分が全てだと思います。例えばコンビニエンスストアで買えてしまうような商品をわざわざ転売業者の手数料を含めた高い金額で購入するお客様はいらっしゃらないと思います。そこには需要と供給のバランスが崩れているという原因があります。これは非常に難しい問題で、例えば当店の場合、どれだけ多くのご注文を頂いても製造キャパシティの観点で潤沢な量をすぐさまご準備するということが難しい場合もございます。これはにわとり卵の話で、たくさんご注文頂けるタイミングを補うだけの製造キャパシティを保とうとすると、繁忙期ではない時に手持ち無沙汰になってしまうというリスクを孕んでいます。中小の和菓子屋では正直難しい面があると思います。あえて自分達に課題を課すとすれば、欲しいと思って頂けるお客様全てに欲しいと思われた時にお買い上げ頂ける状況や状態(量が潤沢にあるか、都内以外でも購入できたり通販で購入できたりするか、通販サイトに迷わず訪問し、つまずく事なくご注文をして頂けるか)にあるかどうかという点を研ぎ澄ましていくということです。量が少ないなら製造を頑張る、通販に辿り着けないならきちんと辿り着けるようマーケティング面を強化するという具合に、出来ることをやっていくことで少しずつ、転売されてしまう量を減らすことが出来ると考えています。これらを強化しながら、いつか転売業者が転売できなくなるような法律や規制が出来るともっと安全に、安心して和菓子をご購入頂ける日本になると考えています。それではまた!

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